慢性的な肩こりなどを捻挫、打撲扱いで治療
整骨院・接骨院では一部の診療に健康保険の適用が認められています。
しかし、認められている範囲は比較的狭く、骨折や脱臼、捻挫や打撲に限られていて、それ以外の場合は自費診療です。
しかし、一部の整骨院、接骨院では本来肩こりなどの治療のために来院している患者さんの治療を、捻挫や打撲と偽って報告していることが問題となっています。
こういった不正請求問題は、一部とはいえ全国的にかなり見られる傾向で、金額ベースで考えると億単位にも上っています。
患者側の受領委任があれば、整骨院側でレセプトを作れる
この問題の背景にあるのが、整骨院で認められている受領委任制度です。
患者さんが健康保険証を整骨院の窓口で提示すれば、その場で自己負担分のみを支払い、健康保険分は整骨院側が国に請求する仕組みとなります。
ここで、患者さんは整骨院から治療を受けた内容を確認し、健康保険の立て替えを整骨院に委任するためサインをします。
この患者さんのサインを得ることができれば、整骨院側で国に保険負担分の医療費をお願いするための「レセプト」という書類を作ることができます。
そこで、整骨院側が治療内容を偽って記し、不正に健康保険適用外の治療について報酬を受け取ることができる仕組みが出来上がってしまう図式です。
この不正請求は整骨院に限らず、どこの医療機関でも可能性がある手口ではあります。
しかし、自由診療と保険診療の境目が見えにくい整骨院では、特にこの不正請求が横行しやすくなっています。
施術部位を増やすなど、悪質なケースも
健康保険適用外の治療について、捻挫など健康保険が適用できる治療と記載して保険料を受け取るのが、不正で最もみられるやり方です。
しかし、他にも施術した箇所を実際よりも増やし、首、肩、腰・・・と複数記載することで、より多くの報酬を請求するパターンもあります。
厚生労働省に寄せられているレセプトのうち、かなり多くの申請が複数個所の施術をしたと記録されていて、実態と乖離しています。
医療費の国の負担が大きくなっているという時代に、このような不正で、かなり大きな金額が不正に支払われいることは見過ごせません。
国側も対策を行っていますが、まだ対症療法に過ぎず、問題の根本的な解決には至っていない状況です。
整骨院の数が増えていて競争が過当な状態になっていることも、不正を助長する原因となっています。